ラジオが苦手だったけどPodcastを聞きはじめたら案外よかった話

ずっとラジオに苦手意識があった。 ラジオ好きの人はもともと趣味として自宅や移動中にラジオを聞くのは普通のことだろうと思うが、私にとってラジオはずっと車の中で流れるものだった。 子どもの頃は田んぼに囲まれた田舎に住んでいたので、休日になると父親の運転で繁華街がある県庁所在地まで2時間ほどかけて遊びに行っていた。 その道中に流れていたのがラジオなのだ。

休日のお出かけ以外にも、母の両親が離れた場所に住んでいたこともあって7時間とか10時間とか家族で車移動することもあった。 うちの家族はおしゃべりでにぎやかというタイプではないので、車の中ではほとんどの時間を静かに流れる景色を見ていた。 田舎から高速道路に乗った移動で車の窓から見えるのは、終始、田んぼ、山、トンネル、山、田んぼ(繰り返し)だ。特に代わり映えはしない。 同じ姿勢でじっと、そういう風景を見ていた。

加えて、私の体質は車酔いになりやすかったり、トイレが近かったりと、長期移動に向かない。 たいていの移動が楽しい思い出より、我慢の思い出の方が多い。 ラジオはそういう長距離移動の記憶とセットなのだ。 だから、大人になってから車で移動するときも同行者にお願いしてラジオはあまり流さない。 ラジオを聞くと車酔いしてしまいそうになる。

ずっとそうだったのに、最近ついにPodcastを聞くようになった。 コロナになって、運動不足が深刻になってきて、なるべく散歩に出たり、徒歩で20分くらいのところにあるジムに通うようになった。 その徒歩の移動時間にPodcastを聞いてすごすのがちょうどよい。

はじめは、Youtubeでしゃべりがメインのものを音声だけ聞いていた(考えてみたらこれはほぼPodcstで叶えられる)。それだとやっぱりどこかで画が欲しくなってしまう瞬間があったり、なんとなく音声だけだと間延びしてつまらなく感じたり物足りなかった。 その後試したのがAudible。実用書とか小説の朗読を倍速とかで聞いたりしてたのだが、情報量は申し分ない。文字情報だけで済むものを音声にしたものだから、理解に足りないということはない。ただ、情報がしっかりしすぎてわりと真剣に聞きすぎてしまうというのが難点だった。 ぼーっと散歩したいのに、それだとしっかり聞いて考えごともしながら足も休めない、みたいになっていって大変だった。

その点、Podcastはちょうどいい。人と人の会話が多いし、そういうものは適度にやりとりのよい間があったり、相槌の時間があったり、あまりせかせかした気持ちにならない。 もともと音声情報を聞いていることは好きだった。読書は読み続ける努力が必要なので考えごとがはかどりすぎて進まないとか、そもそも興味を維持できなくて進まないみたいなことがあるタイプなのだが、Youtubeみたいに受動的に流れてくるものを受け取り続けるのはそれほど苦じゃない。 さらにいうと、私は人の話を聞くのが結構好きだ。 だからもともと純粋なラジオ耐性はあったんじゃないかと思う。それが車の長距離移動との思い出によって変な風に失われていたのだろう。 Podcastを聞き始めようと思ったのは明確に気になるコンテンツがあったのがきっかけだったのだが、試してみてよかったと思う。